【完】籠球ロマンティック
その声に、少年の純粋な想いに、不覚にも葉月と逸人は目頭がカッと熱くなった。


「ちょ、チクショー!何なん!?ラブ可愛すぎるわ」


優しく金石の手の甲を撫でていた恋夜の小さな頭をぎゅ、と抱き締めた逸人。照れ隠しであった。


「イテェ、つえーしカテェ!兄妹でも、リッコと感触違いすぎんだけど」


「はっ!?ちょっと待てやラブ。お前いつリッコ抱き締めたんだコラァ!」


先程までの温かな空気はどこへやら。病室だと言うのを忘れて騒ぎ出す二人に、葉月はクスクス、と声を出して小さく笑った。


「ね?金石、賑やかでしょ?……金、石?」


柔らかく、甘やかに囁いた葉月は、金石の密かな変化に声を震わせる。


彼女の固く閉じた瞼から、涙が溢れていた。そして、首が上下に、頷くように動いていた。
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