【完】籠球ロマンティック
「レ、レン!レンっ!君のおまじない、金石に届いてるよ!ねっ!」


じゃれていた二人は、葉月の声に彼女の方へ視線を移す。


「ほん、とだ。聞こえてた?ねぇ金石さん、俺のおまじない、聞こえてたの?」


「スゲェ……ラブ、ハーシー、スゲェな!」


あまりの衝撃に、逸人の目からも涙が溢れ始めた。不可抗力のようで、逸人は気付いていない。


「イツ、あんた何泣いてんだよ、ははっ!」


「なっ……はっ!?こ、こりゃあれだ、汗だよ汗!代謝良いんだわ俺!」


どうしてだろう、俺の生きる世界は、こうも優しくてキラキラしてるよ。


だから金石、早く戻っておいで。


葉月は、恋夜と逸人を金石と会わせて良かった、と心底思った。


今度は、金石が目覚めた時に、改めて彼等に胸を張って紹介しよう。


痩せ細った手をきゅっ、と握ると、今日の彼女は意識がこちらに近く、葉月の見た目に合わずゴツゴツとした男らしい親指を、微かな力で握り返した。
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