【完】籠球ロマンティック
「うーわ、マジサムっ!雪降りそうな予感。こちとらバイクだからコエーし」


「ははっ!本格的に降ったら、雪用に整備してあげるよ」


今年26歳になったイツは歳よりも若く見えるベビーフェイスをぐしゃりと崩して気持ちを表現するものだから、声を上げて笑ってしまう。


恋夜や律子、論理といるとどうしても大人でいなくてはならない葉月にとって、逸人やオルフェのメンバーとの時間は等身大の自分でいれる、安心する時間でもあった。


ヘラヘラ、と笑いながらまた指に挟んだタバコのフィルターをくわえると、吸い込んでも煙が肺に入らない。


「あっ……変なの。前触れなしにタバコ消えちゃった」


ポケットに潜めていたジッポを取り出しオレンジ色の日を灯す葉月の姿を見ていた逸人は、何故か、背骨の神経がピリリ、と痛む。
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