【完】籠球ロマンティック
「命の、とも、しびが……」


「へっ?イッツん何て?」


「いやっ、何でもねーよ」


逸人は自分が無意識に呟いた言葉があまりにも不謹慎なものだと気付き、口をつぐむ。


『命の灯火が、消えた』……と、そう思っただなんて、口が裂けても言ってはならない。


それでも、葉月の口元で光るオレンジ色の小さな火が、彼女の今にも消えそうな命の灯火と似ているように、逸人は感じてしまった。


そして無情にも……逸人のこの嫌な予感が当たる結果となってしまう。


静かな外に、突然低く唸るように振動する音が響く。


「わわっ!ビックリしたぁ……え、何この番号、公衆電話?」


鳴っていたのは葉月の携帯電話で、表示された番号に戸惑いつつ、通話ボタンを押す葉月。


隣にいる逸人にも聞こえてしまったその残酷な声は、こう、告げた。
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