【完】籠球ロマンティック
教室にたどり着くと、ポワン、と暖房の暖かさに包まれ、丸腰だった耳が温度差で痛み出す。


「うーっ!イテー!」


「あはは、恋夜がイヤマフしないからだよ。ほら、暫くこれつけときな」


ジンジンと痛んでいた耳に、女がするようなピンク色のイヤマフが被せられる。


「あったけぇんだけど、これ、どんな趣味だ」


「ん?彼女に貰ったの。俺もそうだけど恋夜も頭小さいから、つけれるかなって思って」


佳那汰は何でも、見た目より機能性を重視するタイプだ。


服はシンプルなものが殆どだし、スマホも何だかんだで四年も同じのを使っている。


イヤマフに関しても、彼女ん家にあってたまたま丁度つけれたから貰ったのだろう。


「自分がつけてるのって見えないからあれだけど、はは!恋夜、なかなか可愛いよ」


クスクス笑う親友に、ぎゅっと眉間に皺を寄せて抗議の目を向ける。


「そんな顔しないでよー、ねぇねぇ、しかもそれね、ほら、ヘッドフォン兼用なの。音楽聴けるんだよ」


「何これ超多機能じゃねーの!」


最近の女子のものは、なかなか侮れない。あったけぇし外せないっつーの。例えピンクでもね。
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