【完】籠球ロマンティック
荷物をロッカーに置き、再び寒い廊下に出て、二限目の古典の行われている教室へ向かう。


俺達の学校は、普通の高校と違って単位制だから、自分達の選んだ授業に合わせて移動をしなければならない。


楽なような、面倒なような、大学みたいなシステムだ。


「レーン!カナ!おはよ!」


その教室へ向かう途中、廊下で偶然にもリッコと、リッコの友達で佳那汰の彼女とばったり出会う。


「君達二人で歩いてくると、壁が押し寄せてくるみたいな感じよね」


朝一番、リッコは俺達を見てあはは、と笑いながら嫌味をひとつ溢す。


「そうかなぁ、マカロン先輩と良く絡むから、俺ってそんな大きいと思わないんだけどなぁ」


佳那汰のそんな返事に、リッコは『そういうことじゃ無いんだけどなぁ』と困ったように微笑んだ。


リッコの嫌味に対しても変わらず爽やかにすっとぼけてみる佳那汰には、最早誰も敵わないと思う。
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