【完】籠球ロマンティック
しばらく歩くと、ホントに近いところに体育館があり、入り口を潜れば一足先にハーシーが待っていた。


「やっほー学生諸君、雪遊びはもうした?」


「したわよー!見て、マカロン作ミニだるまちゃん!」


さっき写メに残していた雪だるまを自分が作ったかのように見せたリッコは無邪気極まりない。


ハーシーもそれを保護者のような顔でニコニコと眺め、リッコに何か返答を送っている。


「はー、子供かっつーの」


呆れて笑っていると、隣に音もなくす、とマカロンが並ぶ。


そしてぽん、と繊細な白い指先を俺の頭に置き、トップの赤茶色の髪の毛をゆるゆる撫で、柔らかな低音で音を放つ。


「まだ、子供。レン、だって。お、とな、焦って、なる必要、無い」


焦って大人になる必要は無い……か。


「子供、に、しか、ぐんぐん伸びること、出来ない、よ?」


「うん、そうだな。だから、子供でいよーぜ。ぐんぐん伸びてやろう」


にっと笑って答えれば、マカロンも真似て、笑った顔とは言い難いが、い、と歯並びの良い歯を剥き出した。
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