【完】籠球ロマンティック
「ねぇねぇ、ちょっとオネーサン。ここ、俺達が先に使う予定だったんだけど」


流石大人だハーシー。マナー違反をしている相手に対しても、物腰の柔らかい声で話しかけている。


話しかけられた女は振り返り、自分と10センチと変わらない身長のハーシーの、爪先から頭までをじぃ、と観察する。


切れ長の二重に鼻筋は通ってるが大きな鼻、男みたいに横長ワイドの薄い唇のその女は、見るからに気の強そうな感じだ。


んー……美人なような不細工なような、不思議な顔立ちしてんなぁ。なんて呑気に思いながら、女の言葉を待ってみる。


すると、女は怪しげにニィ、と口角を上げて、その不思議な顔立ちで微笑んだ。


「あらごめんなさい?でもね、私達、練習しないといけないのに雪で困ってるの。譲ってよ。ボーヤはお外で遊べるでしょう?」


その女の言葉に、ハーシーはピシ、と固まってしまう。


マナー違反に対して悪びれる様子もなくいけしゃあしゃあと言ったこともあるが、多分……24歳にして『ボーヤ』扱いされたからだろう。
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