【完】籠球ロマンティック
宣言通りひとしきり笑った俺は、涙を拭いながら顔を上げる。


満足に笑ったから、ちゃんと今の状況を確認しなきゃならない。


「お姉さんさ、この『ボーヤ』が言ってること、間違っちゃいねぇだろ?俺達が先に取ってた場所、なんで使ってるの?」


その俺より細そうな切れ長の目を見つめて言えば、女はじんわり顔を赤らめる。


「……グッジョブ」


「はい?え、何このリアクション」


さっきとは全く違うリアクションの女に困り果てた俺がハーシーの方を見れば、ハーシーも困ったような苦笑いを浮かべてる。


「良いねぇ、イケメンってだけでこうもリアクションに差が出るモン?今時の女子高生ってませてるなぁ」


「そりゃどーも。ハーシーおっさん臭い。いや、おっさんか、ごめん」


ボーヤの次はおっさん扱いを受けたハーシーは、構ってもらえない仔犬のようなしょげた顔をする。


「ちょっとレン、ハーシー!いつまでぐだぐだしてんのよっ!」


見兼ねたリッコが後方から大声を張り上げて、暇してポッキーを食べ始めたマカロンを引っ張ってこちらへ向かってきた。
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