【完】籠球ロマンティック



約束の時間、20分前。


待ちわびた剣里高校の刺客、トラ、サク、ダイスケと、そのマネージャーの美鶴がやって来る。


「よっ!いらっしゃい。俺達の土俵へ」


「ストリートだろうが何だろうが、俺達はバスケでは負けねぇよ」


負けず嫌いのトラが笑えば、あの頃の、ほんの少し前の筈なのにどこか懐かしい青春が甦るよう。


「昨日の味方も明日は敵ってな」


「バカだろトラ。俺とあんたが味方だったのは、もう一年以上も前だぜ?」


雰囲気は終始和やか。これから対戦するんだからピリピリしなきゃならんわけだが、あれ達がああだとこっちはピリピリ出来ないんだよなぁ……。


「よく逃げずに来たわね美鶴。その勇気だけは褒めてやっても良いわよ?」


「あーら貴方こそ。嘘つかないでちゃんと準備したじゃない。偉いわぁ」


この間より幾分静かな戦いだが、そのぶん怖さがレベルアップしてる気がする。


「ガクブルだわ」


「ホントそれな」


両チームの男達は、そんな女達の冷戦に震え上がっていた。
< 264 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop