【完】籠球ロマンティック
約束の時間、20分前。
待ちわびた剣里高校の刺客、トラ、サク、ダイスケと、そのマネージャーの美鶴がやって来る。
「よっ!いらっしゃい。俺達の土俵へ」
「ストリートだろうが何だろうが、俺達はバスケでは負けねぇよ」
負けず嫌いのトラが笑えば、あの頃の、ほんの少し前の筈なのにどこか懐かしい青春が甦るよう。
「昨日の味方も明日は敵ってな」
「バカだろトラ。俺とあんたが味方だったのは、もう一年以上も前だぜ?」
雰囲気は終始和やか。これから対戦するんだからピリピリしなきゃならんわけだが、あれ達がああだとこっちはピリピリ出来ないんだよなぁ……。
「よく逃げずに来たわね美鶴。その勇気だけは褒めてやっても良いわよ?」
「あーら貴方こそ。嘘つかないでちゃんと準備したじゃない。偉いわぁ」
この間より幾分静かな戦いだが、そのぶん怖さがレベルアップしてる気がする。
「ガクブルだわ」
「ホントそれな」
両チームの男達は、そんな女達の冷戦に震え上がっていた。