【完】籠球ロマンティック
しかし、その冷戦をも止めてしまう爆音が、コートの中に響き渡る。


驚いて振り返ると、あのデッカイワゴン車の中身の正体が奏でるもので。


それは、あの公式リーグに行った時のようなDJの使う機材。イツが、それを操っていた。


《どーよ?本格的でしょ?》


インカム式のマイクを耳に装着したイツが、マイク越しにご満悦の声を出す。


「おーおー、イカしてるねぇ、今日のイツ、いつもの100倍カッコイイや」


有名バンドの曲を、機械を使ってアレンジするイツは、何者か疑いたくなる程にカッコイイ。


バスケの元プロで、けん玉名人で、DJも出来ちゃうシスコンベビーフェイス。


「……グッジョブ」


言い争いを止めた美鶴が代わりに放った言葉は、イケメンを認めた時のあのフレーズだった。
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