【完】籠球ロマンティック
「おっ?ラブが控えかー」


コートからDJブースの方へ引くと、イツが殴りたくなるようなニヤケ顔で肩口を突ついてくる。


「うざ、作戦だから。うざ」


「うわ、『うざ』でサンドしてきた。傷付くわぁ」


そんな会話をしているうちに、コート内ではどちらボールになるのか、決めているよう。


今回はジャンプボールではなくコイントスで決めるみたいで、リッコと、予想通りダイスケが向き合っている。


「あら、貴方が控え?それともうち相手に余裕かまして温存かしら」


いつの間にか同じようにブース内に来ていた美鶴が、やはり不思議な顔立ちと雰囲気で俺に話しかける。


「あのねぇ、温存とかそんなことしないでしょリッコは。ンなこと、あんただって良く知ってるんじゃないの?」


「……それもそうね。でも、リッコには悪いけど、女が男に、しかもうちの連中に通用する筈がないわ」


自信を持っているのか、客観的に分析してなのか、美鶴は鋭い切れ長の目で、コートの中に視線を送る。
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