【完】籠球ロマンティック
ソードマンの三人の配置は、ドリブラーで司令塔にダイスケ。シューターにサク。リバウンダーにトラがそれぞれポジショニングしている。


リッコがその大きな黒目で全体を見渡し、ボボボ、とドリブルを低くした。


……仕掛けるか、一発目から。


やはり男という生き物は、どうしても女を目の前にすると『隙』が生まれて来る。


「へぇ、なかなかドリブル巧いね」


「なかなかじゃないわよ。かなり巧いわ。バカにしたら痛い目見るわよ?」


ダム、とボールをついたタイミングで右足を踏み切ったリッコを、流石エリート集団、と言わざるえない程のスピードでダイスケが追いかける。


「これは五人バスケと違うのよ!」


リッコは自信満々に笑みを浮かべ、左にボールを飛ばして右手でバックロールしながら抜く……と、見せかけた刹那。


ボールに触れていた右手で、それはもう正確に、ダイスケの股の間にボールを弾く。


意表を突かれ動けないダイスケを置いて、リッコはゴールへまっしぐら。


「!!わぉ、女の子だと思って嘗めちゃダメだったね」


ダイスケが、やれやれ、のポーズで思わず苦笑いしたタイミングで、ギャラリーの歓声のボルテージが更に上がる。
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