【完】籠球ロマンティック
これは、点取りの戦いになるかもしれない。


時間にしてほんの数秒。両チームの動きを見て、そんな風に思った。


ボールは再びスネイク・オーバドゥサイドからのオフェンスへ移行する。


ボールはリッコからハーシーの手元へ。


「こーりゃ、一瞬たりとも気は抜けないねぇ」


軽い口調で言ってのけたハーシーだけど、やはり経験値の差か、はたまたハーシー特有の食えぬ雰囲気からか、全く隙が見当たらない。


ハーシーについたサクは、一定の距離を置き、163センチの小さなハーシーを前に出さない距離を保つ。


その距離を読んで、ハーシーは体をうねらせた。


素早い動作でシュートモーションに入ったハーシーを、サクが止めにかかる。


だが、ここでシュートせず『待てる』技術があるのがハーシーの強み。


フェイクではなく、シュートを直前にしてやめることが出来るハーシーをこの体勢から阻止するは不可能に近い話だ。


ハーシーは空中からボールをいなすように下ろし、バックロールさせ、そのままリッコの方へそのボールを流す。


完璧なプレイだった。
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