【完】籠球ロマンティック
シュートとムーブ……さて、どちらで来るか。


皇律子はこの短時間で見るに、破天荒な性格だ。いつも裏を突きたがる。


そう読んだ俺は、わざと初めと同じように離れた位置でディフェンスをしてみた。


「あれ?最初と同じじゃん。香椎君って頭良いのに学ばないタイプ?」


「いーや。どうせあんた、打たないだろ?」


俺の返答に、皇律子の余裕そうな顔が一瞬ピクリ、とひくつく。


この顔は恐らく、俺が何を考えてるのか理解不能、と言いたい顔なのだろう。


この挑発に乗るか、乗らずに冷静に行くか。


基本的に冷静にプレイしているようだけど、根っからの破天荒は治らない。


だから……ほーら、来た。


「面白い!止めれるなら止めてみてよ!」


ダダダっと素早くカットインした皇律子と俺の距離は、おおよそ30センチ。


こいつの側によると、空間にカラフルな星とシャボン玉、リボンが飛び交う気がしてならない。


謎のオーラだ。きっと、どんなに人混みの中にいても、何処にいるか直ぐに分かるだろう。
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