【完】籠球ロマンティック
向こうはパス回しが飛び抜けて巧いダイスケと、そのダイスケの動きを把握しきったサクが上手くボールをゴールへ向かって進めてくる。


外から客観的に見ていた俺は勿論、中でずっと動いていたハーシーやマカロンもそれは分かっていることで。


リッコのあの鼻を撫で付ける動作が示すポジショニングは『スイッチ』で。


それぞれの役割ごとに付けていたマークを、俺はサクへ、マカロンとハーシーはダイスケへと迅速に動く。


そうすると、流石に二人がかりでマークされたダイスケの判断力は鈍り、早い時点でトラへボールが渡る。


渡ったら、すばしっこいハーシーが即座にトラの元へつく。


普通に考えたら、トラとハーシーでは身長差のミスマッチがありすぎて勝負にはならない。


まぁ大事なのは『勝負には』ならないということである。


自信を持って突き進むトラへ、ハーシーは小さな体をいっぱいに使ってぶつかるようにディフェンスする。


「審判!84番押してるわよ!」


美鶴の叫び声が聞こえるが、恐らくリューイの位置からはそう見えない。ハーシーはやはり、経験値からかそういうプレイも巧いのだ。
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