【完】籠球ロマンティック
決して暑くない、寧ろ寒いこの空の下。


けれど燦々と輝く太陽の下で動き回る俺達は、冬なのにカッコ悪いくらいに汗だくで。


リードを貫く俺達は、もう息をするのも辛いくらい。


追いかける三人も汗だくで、俺達程にゼェゼェは言ってないけど、それでもずっと走り続けて疲れは隠せない様子。


疲労で歪んで、戦う俺達の中にイケメンなんて一人もいないけれど。


わくわくが爆発し過ぎて、そんなぐちゃぐちゃドロドロの俺達は全員子供のように楽しんでいる。


ラスト12秒。ボールはダイスケが操っている。


点差は5点だけど、この秒数。追い付かれる可能性は充分にある。


コートの外のリッコが、前髪を引っ張り七三分けにした。


「オーケー、信じるよ」


これは、ボールをカットする為のコースの予測のサイン。


ダイスケが通るコースを示す、一筋の光だ。
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