【完】籠球ロマンティック
ダイスケはフェイクを加えながら、右で二度ボールをつき、そのボールに少しの回転を加え、斜め左側のサクへ、パスを繋げる。


「っしゃ!当たりだ!」


「なっ……マジかよ!」


しかしそのボールは、リッコの予測通りの軌道。俺は、手では届かないそれを左足で飛ばす。


ボールは、信じて待っていたマカロンがサークルの外で受け取る。


それは残り6秒の出来事。


何十年もこの先生きる俺達にとってたったの6秒だけど、今小の瞬間、1秒たりとも無駄にしたくない、その時間。


「れっ!」


多分、名前を呼びたかったのだろうが、喉から声を出すのが苦手らしいマカロンのその、短い低い音。


戻ってきたボールをついて、俺はゴールへ一直線に走る。
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