【完】籠球ロマンティック
掌と尻が擦れる程練習した、俺が、今の『香椎恋夜』が手に入れた、とっておきの飛び道具。


そのブレイクダンスを踊るようなストリートボールのムーブである『スリッピンスライド』は見事に決まり、ここからは俺の独断場。


最後に決めたのは、体育の授業で素人が習うようなイージーシュートのレイアップ。


《ラブボーイ……ファイヤー!ラストに決めたのは、ゴリッゴリのストリート技!感動の激闘を勝ったのは、スネイク・オーバドゥ!》


勝負が、決まった。このわくわくが爆発し過ぎて暴発した空間は、歓声という名の煙に包まれ、ぐわんぐわんと揺れる。


「So cool!レン、愛してる!ハーシー愛してる!マカロン愛してるー!」


その煙たい歓声の中、柔らかなキラキラをぶちまけながらリッコがピョンピョンと喜びを身体中で表現する。


それを見ながら、俺は無意識に呟いた。


「ヤッベー……全力でパフパフしてぇ」


どんなに感動的な試合をしようが、ムーブを成功させようが、ンなもんそっちのけに出来るくらいに、リッコの柔らかそうな双丘の感触への憧れが頭を支配する。


仕方ねぇじゃん。だって、思春期の少年というのは煩悩で形成されてるんだから。
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