【完】籠球ロマンティック



「いや、完敗だわ。スゲェわ。俺等もっと練習しなきゃな」


「だな。きっとこの後、美鶴の厳しい指摘付きの反省会だよ」


激闘の後、あんなに居たギャラリーは一人もいなく、あんなに響いていた爆音も無く、静かなコートのど真ん中。


お互いを激励し合う俺達の声しか響かないこの空間は、不思議なくらい穏やか。


……あの女共が静かなのが不気味だと思わなければ、だ。


多分、俺も含めた六人の男衆は、皆そう思ってる。


「マカロン、怖くない、怖くない」


「むり、むり、拭え、ない」


デカイくせにチワワみたいにプルプル震えるマカロンを、同じくプルプル震えるハーシーがあやす小声が視界の外から聞こえてくる。


先に口を開いたのは、横幅ワイドな薄い唇を持った、不思議な顔立ちの美鶴。
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