【完】籠球ロマンティック
美鶴との電話を済ませた葉月は、持ってきていた荷物を背負い立ち上がる。


「こら待てや。どこ行くつもりだ」


「ん?ミッツーとご飯。リッコいないから予定してたパターン練習出来ないし、夜イッツん達と練習でしょ?一旦抜けるわー」


軽い調子で言った葉月に、恋夜は『うぬぬ……』と唸る。


「ハーシーあんた、男の友情を裏切るのか、女に行ってしまうのか!?」


律子不在のうえ、葉月までもいなくなってしまうとなれば、恋夜は途端にバンビのような可愛らしい顔で止めに入る。


「ただ若い女の子とデートするだけじゃないよ。ミッツー、今度の試合の出場チームの優勝候補、調べてくれたみたいなんだ」


それだけ言うと『じゃ!』と手を挙げて軽快な足取りで去って行く。


「……なんか、美鶴のハーシーに役に立ちたい乙女心、スゲェな」


「なっ」


残された恋夜と論理は、葉月の小さな後ろ姿を見送りながら会話をした。
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