【完】籠球ロマンティック



太陽の眩しい光を吸い込む、木製家具で統一された店内のテーブルの一角。


コーヒーとオレンジジュース、そして目で確認しただけでも分かる程にふわふわとした生クリームの乗ったパンケーキの皿を目の前に、女達の話は盛り上がる。


「今日はありがとーリッコ。でも、頻繁に会ってるのに旅行で気合い入れるって、変じゃないかな?」


「そんなこと無いわよ!私が男だったら嬉しいわ!」


恋をして一層可愛くなった友人の幸(さち)を目の前に、律子はブラックコーヒーに口を付ける。


「リッコも下着買ってたけど、ついに香椎君と……?」


「な、ナイナイ!試合近いし、そういう風にはなってないし」


慌てて否定してみた律子は、自分の言ったその言葉に、少し気持ちが落ち込む。


試合本番の手前、自分の気持ちを伝えてもし恋夜に拒否されて、今の関係が崩れてしまったらどうしようという思いが強く、十二月のあの日から距離が縮まらないでいる。


あの日律子にプロポーズまがいのことを言った恋夜も距離を縮めて来る様子がなく、あの日のあの言葉は友愛から来るものだったのかと思ってしまう程。
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