【完】籠球ロマンティック
柄にもなくウジウジした律子に、幸は日々言うのを我慢していたが為に溜まっていたフラストレーションを爆発させる。


「もうさ、待ってないで好きだって言いなよ!すっきりさせた方が試合も全力で出来るじゃん!もしダメでも香椎君に限って避けたりしないでしょ?」


「簡単に言わないでよ!……人を好きになるの初めてなのよ!告白なんか無理!」


いつもは白黒はっきりしていてサバサバした律子が、恋になると嘘のようにウジウジと女の子らしくなるなんて。


幸は律子が下着屋で購入した紙袋を指差し、遠慮無く告げる。


「あんたね、そんなこと言ってたらいつまでもそれの出番来ないから!いつもサイズが無いからってシンプルなやつの癖に、頑張ってレースの可愛いブラ、原宿まで来て買ったのに!」


その、予想以上に響いた幸の声に、他にカフェを利用していた客の視線が集まる。


「ちょ、幸ったら」


「ごっ、ごめん。……でも、すっきりしないことそのままにするなんて、リッコには似合わないよ」


その幸の、親友をを心底想う言葉に、律子はアンニュイな表情をし、コーヒーの入ったカップをもう一度口元に運んだ。
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