【完】籠球ロマンティック
これで最後にしたい俺のオフェンスターン。さて、どうしたものか。


「さっきのフェイダウェイを見るに、普通にシュートも出来るよね、君」


「あ、バレちゃった?」


やはり頭の良い皇律子。今度は小さな体をベッタリと張り付け、シュートに行かせないようなディフェンスをしてくる。


後ろ手でドリブルをしながら、最後、どうしようかと思考を巡らせる。


「うーん、俺ってば、度肝を抜くようなテクは無いしなぁ?」


「嘘ばっか!まだ、持ってるんでしょ?」


劣勢でも尚楽しそうな皇律子に、俺の中からまたポコポコ、と不思議な感情が芽吹く。


この1on1が終われば、俺の『それなり』の日常が戻ってくる。


それでいいのか?それで、満足出来るのか?
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