【完】籠球ロマンティック
恋夜が示した道に従って歩くと、そこには小さな公園があった。


中を更に歩くと、古びた金属製のプレハブ小屋が設置されている。


その小屋の屋根に木を使い登った恋夜を見ていると、律子は小学生の頃に男子達とそうやって遊んだことを思い出した。


リッコも木をなんとかよじ登り、そこから少し距離のある屋根へ飛び写る。


しかし、勢い余って着地に失敗し、二歩、三歩と小走りになりよろめく。


「おっと!……全くあんたは、元気にも程があるだろーが」


律子の小さな体は恋夜によって支えられ、肩と腰に柔らかに手が回る。


練習でかいた汗の香りと石鹸の香り。どちらも恋夜独特の甘い香りで、律子の心臓の動きが加速した。


恋夜は律子を離すこと無く、首だけを動かしてある場所へ、視線を向ける。


「リッコ、見てみろよ、ほら」


「え……わ、わぁ……!」


律子も言われた通りに恋夜と同じ方向を向くと、そこには。
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