【完】籠球ロマンティック
開会が宣言され、一巡目の最後の試合である俺達は試合を観戦。このトライアウトの空気を掴むのには一に見る、二に実戦ってな。
リッコは試合を何を言っているのか分からない程に小さな声でぶつぶつと囁きながら、眺めているよう。
恐らく、実際俺達と戦った時のイメージを作っているのだろう。実際当たる可能性は相当低いトーナメント左組だが、リッコは余念がない。
「おう!レン、次試合か?」
「おートラ!それにサク、ダイスケも!」
先程単体の美鶴と遭遇していたから、もしかして、とは思っていたが、やっぱり観に来ていたんだ。
「それにしても、改めてこうして試合観て思うと、ストリートって俺等のバスケと違うな。展開早いのに、バスケが分からない奴でも楽しめる」
「おう。その分個人技も磨いてかなきゃいけないけど……俺は、あの頃よりもずっと輝いて、バスケに恋してる」
本心が、思わず溢れた。確かに、中学時代もバスケが大好きで、がむしゃらに、あのボールを追いかけていたけれど。
多分、俺はあの頃よりもずっと、自由に翔て、自由に飛ぶことが出来ている。
「そっか……レンのこの新しい居場所で、爆発して楽しませてくれよな」
「勿論。タイフーン起こして、そのタイフーンを乗りこなして、楽しませてやっから」
その為にも、俺は、こいつらと上に這い上がる。