【完】籠球ロマンティック
一回戦の第五試合。俺達にとって、戦いの幕開けとなるこの試合。


「ミッツー情報だと向こうの一番、四年前のインターハイでベスト8だったチームのキャプテンなんだってさ」


くるくるのパーマがかかった茶髪を、女っぽいシュシュで結いながら話すハーシーは、話の内容とは裏腹に気楽そうな声を出す。


「まぁ……ふっ!現役っの、エリートに勝った……っじゃん。元エリートなんて、ほっ!怖くないでしょ」


「あはは、レンのそのどこから湧いて出るのか分からない自信、頼もしいわ!」


柔軟をしていた俺の背中をケラケラ笑いながら叩いたリッコは、手首に着けていたパワーストーンを外す。


「げほっ!殺す気か!息詰まったわ!」


「やだなぁ、それくらいで死なないわよ!逆に緊張ほぐれたでしょ?」


リッコはやはり、俺達の気持ちの微々たる変動を良く見てる。


公式試合なんて、もう一年半ぶりの俺の小さな緊張さえ、見抜いていたんだ。


「なー、リッコリーダーよ。さっき決めた円陣ってどんなん?」


俺も、そのリッコの気持ちに答えようと思う。ある程度、気持ちが絞まるくらいの緊張は残し、あとはぶっ飛ばそうじゃないか。
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