【完】籠球ロマンティック
コイントスの結果、ボールは相手ボールに。


「……ンだよ、ンな顔で見んなし。俺はリッコみたいに回転追いかけられねーっつーの」


ハーシーとマカロンが猫のような目で俺を見てくるもんだから、思わず呟いてしまう。


「もー、取り返しゃ良いじゃんか。取り返しゃ」


相手のドリブラーは同じくらいの身長だが俺よりもガッチリとした体型。


このままぶつかっても負けるのは目に見えている。


リッコの方をチラッと見ると、鼻の頭をツン、と引き上げて豚っ鼻をする。


「はいはい、オーケー」


リッコのサイン通りに運ぶ為に、俺は右足一本で後ろに飛び、相手から距離を置く。


マークが外れたことにより、相手は堂々と抜きにかかってくる。


体は、左に傾いた。


「抜くな!回せ!それは作戦だ!」


相手チームの一人が気付いて叫んだが、それはもう後の祭。


「ブッヒー!」


すばしっこく小さなハーシーが相手の後ろから手を伸ばし、ボールを真上にスティールする。


それを待っていた俺は、今度は狙いを定め斜め上に飛び込んで、両方の掌に吸い付けるように、ボールをガッシリと掴んだ。
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