【完】籠球ロマンティック
そして、そのボールは物凄い早さで戻っていたハーシーの元へ帰し、俺もマークがつく前に動き出す。


マカロンが派手に動かないで、一人を完全に動けないようにしてくれているおかげで出来る、俺とハーシーとのコンビプレイ。


会場のギャラリーや他のチームがざわついているのが手に取るように分かった。


このトライアウトで唯一、高校生を中心のチームであるスネイク・オーバドゥが開始直後から試合の主導権を握るなんて、思ってもみなかったからだろう。


パスでボールが再び手元に来ると、それを、軽快なボール捌きで扱って見せる。


そうすると、ざわめきから、いよいよ歓声へと変わっていく。


「このっ!」


「おーこわ!あげないよ」


ボールを取り返すべく荒いカウンターを仕掛ける相手に、俺は素早くドリブルしていたボールを踵で蹴り上げてコースを変更する。


「ザンネン。5on5じゃない。これは3on3、ストリートボールなんだよ」


手を、足を、感覚を、使えるものを全て使って一人抜くと、次に待ち構えていたもう一人に、そのまままっすぐ突っ込んでいく。
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