【完】籠球ロマンティック
「もー何してんのよ、良かったー、蓋空いてなくて」


自分の太股に当たった水筒を拾い上げ、水筒をハーシーに差し出したリッコに幼い顔をくしゃ、と歪めるハーシー。


「……ホント、一回戦勝ってから言うのも何だけどね?俺、武者震いが止まらない。勝ったことで思った。戻ってきたんだってさ」


このフーズガットを、前回覇者のチームとして経験しているハーシーだ。きっと、俺達とはまた、思うことが違うのだろう。


「あのね、俺、前のチームの時、俺の特性をなかなか生かして貰えなくて、それで、チームメイトとも上手くいかなかったのね。あの時は、バスケ辞めちゃおっかなって思ってた」


ふるふる、と手を震わせたハーシーは、自分の手を見つめながらふぅ、と息を吐く。
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