【完】籠球ロマンティック



第二試合、ここからはシードチームも入って来て、残すところ八チーム。


俺、リッコ、マカロンでのスターティングで挑んだこの試合は、リッコが初戦に出なかった分のフラストレーションを爆発させる試合運びとなる。


「スター!」


先攻を決めるコイントス、回転の全てを追いかけたリッコは、声高々と書き込まれたマークを叫ぶ。


「18周半……ふぅ、これが毎回続くと思うと先が長いわ」


「嬢ちゃん、回転全部追いかけたのか?なんて良い目をしてるんだ」


相手のプレイヤーが驚くのも仕方がない。相手ばかりか、正直あれには俺だって驚いてしまうくらいだ。


「さぁ、楽しいゲームの始まりよ」


ドリブルをつくリッコの身体中から、得体のしれないロマンティックでカラフルなオーラが飛び散り、会場を包み込む。


サッ、と俺が胸元に両掌で三角形を作れば、リッコと俺についた選手がそれを横目で確認し、パスを阻止するように体を動かす。


「……まぁ、くれないんだろ?」


「なっ……!?」


しかし、俺が呟いた時にはもう、リッコの手にはボールは無くて。


ボールの後ろから、リッコが放つような真ん丸なカラフルの何かが飛び散るような、そんな感覚。


女の選手じゃなかなか見ることの出来ない、美しいフォームのワンハンドで放たれたスリーポイントショットは、音も無く、ゴールへと吸い込まれる。


「うん、リッコはそうでなきゃ」


カッコいいぜ、愛してるよ、リーダー。
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