【完】籠球ロマンティック
ボボボ、とドリブルを低く早く左右に散らした俺に合わせて、相手が低く構えたのを確認すると、俺は右手を空を切るように高く掲げる。


それに反応した相手は、ボールをブロックすべく、低かった体勢から体を伸ばした。


「なーんちって」


しかし、俺の手は空を切っただけ。


実はボールは右足の甲の上。トントン、と蹴り上げてリフティングしてみせると、ギャラリーから歓喜と笑い声が響く。


その足の上のボールを高く上げ、ターンして肘で飛ばすと、そのコースにはマークを振り切ったリッコがいて。


リッコはそのボールを素早くゴールへ運び、ゴール下で飛び上がる。


すると今度はスクリーンアウトの体勢を取っていた相手チームのリバウンダーが遠慮無く飛び上がり、そのゴールを阻止しにかかる。


「ありがとう。女だからって手を抜かないでくれて」


しかし、それさえもリッコの組んだ作戦の一部でしかないわけで。


リッコは空中でも的確に、ノールックでパスを出す。


それを静かに受け取ったマカロンは、ゴール下からのシュートを簡単に決めてみせた。


会場を味方に。それぞれの特性を武器に。自らで巻き起こしているタイフーンを、俺達は気持ち良く乗りこなしていた。
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