【完】籠球ロマンティック



二回戦、それから三回戦と勝ち進み、気がつけば次でこのトライアウトが終わり、決勝トーナメントへの切符をかけた戦いが決する。


トーナメントをまじまじ眺めていると、美鶴が目をつけていたチームが順当に残っていて、最終的に残ったのは、昨年公式リーグにいたという大学生チームと俺達だ。


しかし、ここまで予想が当たると、あの女の情報網の凄さには驚くしかない。


流石に疲労でへばり、屋台で瓶ソーダを買ってきて一気飲みしてると、イツが誰かと話しているのを発見。


「いやぁ、イツさんがここに観に来てるなんてビックリですよ」


「まぁね。妹のチームが参加してるからさ、付き添いの保護者、的な?」


イツごときに敬語を使うだなんて、スッゲェちゃんとした人じゃん。感動だわ。


なんて、元BJリーグのプロで、今はストリートのプロリーグであるサムシティのチームにいるイツにかなり失礼なことを思いながら、相手の顔を確認するように覗き込む。


あ……あれは、俺達が次に戦うチームのドリブラーだ。


顔見知りがいるって言ってたけど、それってあの人だったんだ。


よくよく考えたらそりゃそうだ。公式リーグの半年間の間、月に二回はあの場所に共にいたわけだから、仲も良いよな。
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