【完】籠球ロマンティック
コイントスにリッコとムネヒロが立ち、高く上がったコインを両者睨み付ける。


バシ、と審判がキャッチして、互いが息を吸い込むのが窺える。


「「ムーン!」」


……ハモった。回転を追いかけているリッコが間違える確率は低く、素早く答えているのにハモるってことは、ムネヒロも追いかけているということだ。


「はぁ、やっぱりイツさんの妹ちゃんなだけある。流石だね。レディファーストだ。俺はスターで」


「そりゃどーも。そのレディファースト精神が後で命取りになっても知らないわよ?」


ボールが動き出す前から一触即発。負けん気の強いリッコだから、言い返さずにはいられなかったのだろう。


「リッコさんハナっからブッ飛ばすねぇ。マジサイコー」


「あったり前だろ?俺の愛しの妹だぞ?」


「はいはい、イツおにーたまのシスコンはもうごっそーさんですって」


イツじゃないけど、リッコ流石って思うのは俺も同じ。高まるっしょ。
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