【完】籠球ロマンティック
先攻は勿論、ムーンを選んだスネイク・オーバドゥから。


リッコは、スタートのブザーに合わせてボールをタンタン、と柔らかく操り始める。


その様子を、同じドリブラーであるムネヒロはどこか余裕の漂う色っぽい垂れ目で、微笑みながら見つめていた。


「先に言っとく。パスは無いわよ。貴方に思い知らせてやるの、凄いのはレンだけじゃないってね」


いつもは女らしい、丸っこいその顔が、自信とわくわくで鋭く、ギラギラと光り出す。


バスケをしている時のリッコは、可愛らしさよりも男前な部分が目立つ。


体勢をぐっと低くしたリッコは、小刻みにドリブルをついて股の間でボールを踊らせる。


その華やかなプレイに、ギャラリーが感嘆の声を漏らし始めた。
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