【完】籠球ロマンティック
更にリッコは、ボールを細かく踊らせながら自分も踊るような動きをする。


「あのお嬢ちゃん、スゲェ巧い」


「ああ、なんか、ファンになっちゃいそうだ。可愛いし」


後ろのギャラリー達はそのスゴ技にざわざわわ、と言葉を漏らす。


前に行かせようとしないムネヒロ相手に、リッコは余裕を持って加速して、ひらり、と踊りながら抜き去った。


あんなに早かったのに、その動きは可憐でゆっくりしているようにも感じ取れる。


日本舞踊……そう、あの可憐さは日本舞踊のようだった。


ハーシーとマカロンが残り二人を上手く足止めし、リッコの邪魔をするものは何も無い。


そのままレイアップを沈め、先制点を奪い取る。


「……やるねぇ、レディ」


そのスゴ技を見送ったムネヒロの瞳の色が、少しだけ変わったのを俺は見逃さなかった。
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