【完】籠球ロマンティック
「来るよ。ムネヒロの全力」


イツがギラリ、と真剣な瞳を光らせる。


それは、どこか獲物を狙うハイエナにも似たハンターのような顔。


視線をコートの中へ戻すと、ムネヒロがゴールへ向かってボールを操っているところで。


そこにリッコがマークに走ると、ムネヒロはニヤリ、の口元を歪ませた。


「レディがスゴいのぶっ込んでくれたからね、俺も応えなきゃ!」


そう言ったムネヒロは、ドリブルしながら左右にぶれる。


「……なっ!ンだよ、あれ!」


しかし、そのドリブルは普通ではない。


ボールに指先で回転をかけて、地面に当たった時にどこに返るか全く分からない。


前についたと思ったら、バウンドしてあっという間にムネヒロの元に戻ったり、右から左についたのに、また右に戻ったり。
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