【完】籠球ロマンティック
さっきのムネヒロのグッドプレイへの仕返しかの如くニヤリ、と微笑んだリッコは、ダン、と派手な音を立ててボールを地面につける。


「バカね、一番マーク外しちゃいけない奴をフリーにするなんて」


そう言ったリッコは、拳で思いっきりボールを叩き、自分の右斜め後ろに転がす。


それを受け取ったのは勿論ハーシー。


『ディアボロ・ボーイズ』の選手がハーシーへマークにつくのを待たずして、素早いクイックシュートをハーシーは、静かに投げた。


小さな体だが、背中まで均衡の取れた筋肉のついたハーシーの体が美しく飛び上がる。


音もなくゴールを潜ったボールが、俺達に3ポイントをもたらした。


「そうか、彼、去年は横浜特攻部隊にいた……去年よりイキイキ動くものだから、気付かなかったよ」


得点を重ね、喜ぶ三人を見つめるムネヒロの色っぽい垂れ目が、やはり獲物を狙うハイエナのようで、外から見ている俺はじくり、と心臓が嫌に痛んだ。
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