【完】籠球ロマンティック
その噛み合わないやり取りに、俺はムズムズしてしまい、マカロンの隣にしゃがむ。


そして、リッコの小さな頭にぼふ、と手を置いて、くりくりの瞳をじっと見つめた。


「あのなー、あんた分かんないの?マカロンの言いたいこと」


「え……えっと、え?」


突然の俺の介入に驚いたリッコは、睫毛をしぱしぱと動かし不思議な表情をする。


「リッコ、マカロンはね、『ここで無理したら、今後の試合に引きずるような怪我になりかねない。そうなってリッコが離脱したら、次の試合が勝てる試合でも勝てないよ』って、そう言ってるんだよ?」


ハーシーも、俺と逆サイドのマカロンの隣に座り込み、リッコに向けて八重歯を光らせて笑う。


マカロンも、俺達の言葉に『うん、うん』と首を縦に振るう。


「ははっ!リッコ、男子達の言葉に甘えて休んじまえ!疲れて汗臭くなるのは男の仕事だし」


俺達のやり取りを黙って見ていたイツが、後ろから声を上げて笑い、俺達男三人の頭を順番に優しく叩いた。
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