【完】籠球ロマンティック
口元を喜びで歪ませて、予め輪にして繋げた手首にボールを乗せてその輪の上で、ボールを走らせる。


三周目で手首の上のボールをひょい、とムネヒロの頭上の遥か上に飛ばすと、俺を信じて待っていたマカロンへとそのボールは渡る。


「あんたも楽しみな、マカロン」


俺の繋ぐボールは、得点よりもチームが、ギャラリーが楽しむ為に繋げるボール。


これまで強敵相手に点を挙げることだけに徹していたスネイク・オーバドゥの空気を変える為には、楽しむ風を吹き込むしかないと、俺なりに考えたプレイ。


マカロンも俺の考えを理解してくれたようで、受け取ったボールをユニフォームの中にすぽん、と隠し、相変わらずの柔らかな無表情からべろん、と長い舌を出す。


その長い舌先についたシルバーの、ギラリ、と光る丸っこいピアスは、マカロンの闘志の代わりにに存在を示すよう。
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