【完】籠球ロマンティック
あれは『行ってよし』の許可。


マカロンは少しもこちらを見ることなく、服の中で温めたボールをゴールへ向かって後ろ向きで投げる。


それが届くと信じ、俺はハムストリング筋に渾身の力を込めて、高く飛び上がった。


「スネイク・オーバドゥはチャンスを這い、蛇行しながら待つ蛇。けれど、その腹の中には、実は青い鳥を飼っている……そうだろ、なぁ?ラーブ」


空中でボールを掴み、ゴムの感触を確かめてゴールリングに叩きつけるその瞬間。


一瞬なのにスローモーションのようで、体の毛穴全てからアドレナリンを放出した俺は、イツが何か問いかけてきた、そんな気がした。


内容は全く分からなかったけど、とりあえず、答えはひとつでしょ。


「おう、あたぼーよ」


その答えを出すと、世界が瞬く間にロマンティックな光に包まれて、輝きが止まらない。


俺の青春は、こんな時に目がクラクラするように、酷く輝き出す。
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