【完】籠球ロマンティック
リッコが抜けた分鋭く低い攻撃が出来なくなったが、代わりに俺が、速さと高さ、何より楽しむ風をコートにもたらす。


「わーお。君もかなり、スタミナと実力隠してたんだねぇ?」


やられて尚、どこか余裕で艶っぽい顔をしたムネヒロ。


けれど、瞳の奥に灯った火は青く、メラメラと、わくわくという薪をくべて更に熱くなっているよう。


「そーりゃ、ねぇ?手の内全部出したら、勝てなくなるっしょ。……いやしかし、スタミナの方はねー、ボロカスだけどねぇ」


さっきのワンプレイで、正直膝が笑って止まらない。


そりゃそうだ。先に二試合したんだもんな。膝もガクブルですよ。


それに引き換え、これまで三試合の全てをフルタイムで頑張るマカロンは、さっきのプレイがよほど楽しかったらしく掌をじっと見つめている。


「遊ぶのが楽しくて疲れ知らずってか?やっぱ、お子様だよマカロンは」


そう呟いた俺に、見つめていた掌を思いっきり『パー』の形に開いてつき出すマカロン。


「弾く、よ」


たったその一言に『俺に任せろ』『俺を使って』と思いのたけを込めてくるマカロンに、ふっと笑みが溢れた。
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