【完】籠球ロマンティック

一体どんな癖があったから右サイドから抜いてくると予測出来たのかさっぱり分からないけど、リッコの予測だから信用出来る。


自分の右側に意識を集中させていると、ひゅん、と近付いてきたムネヒロの威圧感に、何か仕掛けてくると本能的に悟った。


ムネヒロは俺の左側に寄り、細かなサイドステップを加えて今度はがら空きの右から、予想通り抜いてくる。


「うわ……リッコドンピシャ。しかし、ンなの分かってても止めらんねぇわ」


まるで、細い縄の上で動いたかのような繊細なステップでやってのけた、ムネヒロのクロスオーバーは、5on5でも実用される高等技術。


しかし、リッコは『右サイド』というサインに『抜かれても良い』というサインを混ぜてきた。


ゴールへ、味方がスクリーンをかけて作った道をしっかり進むムネヒロに、リッコが指示し、俺達が作り出す『蛇の毒』が襲いかかる。