【完】籠球ロマンティック
俺達のやり取りが嬉しいのか、リッコはニコニコと黙って眺めている。


「……で、話変わるけど、時間の作り方を聞こうか、リッコ先生よ」


そんなリッコに声をかけると、その大きな瞳がくりん、と開く。


「それはこのハーシーパイセンに任せると良いわ!チームのスケジューリング担当だから」


「何ー?レンって忙しい系男子?」


この一見何も考えて無さそうなハーシーが、俺の時間を作る奴?


ちょっと不安に思いつつハーシーを見下ろすと、当の本人はニッコリ笑顔。


「どのように忙しいか聞いても大丈夫?」


「えっと、俺、うちの事情で月水は夕方から九時まで、土日は朝から夕方までの週四バイトなんだ」


そう答えると、ハーシーは更にニヒ、と笑い人差し指を立てた。


「それくらいなら問題なし!俺も休み不定期の車の整備士だけど練習出来てるし?」


働いてるならそりゃ俺より大変だよな。って、ん……?ちょい待ち。今、何て?


「ハーシーパイセン、失礼ながらおいくつで?」


「俺?今年で24歳だけど?工業高校卒業してから社会人六年目」


まさかの年上という事実に、俺はホントに申し訳ないが、思わずよろけてしまった。


良くて高校生くらいにしか見えないこの小柄な男が……七つも年上、だ、と!?
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