【完】籠球ロマンティック
『……良い?これから、二つのファウルを取って。あからさまなのはダメよ。そうやって出来るだけ時間を奪うの。残り時間が25秒くらいに削れれば上出来。お互いのボール保持時間が15秒だもの、後はどうにでも出来るわ』


タイムアウトの際、リッコが言った言葉を頭の中で再生する。


この試合の中で、平均7秒くらいのペースで点を取っている計算になる。


今、残り時間が23秒。そのくらいで仮にあちらさんが点数を取ったと仮定して、残りは16秒となる。


俺達はそこから、15秒いっぱいいっぱいボールを回して得点するのが得策だ。


そうすれば、1秒しか残らない。点差は3点差だから、あちらさんは素早く、しかも3ポイントシュートを打たなければ、同点に持ち込めない。


正に、蛇が噛み付いてじわじわと追い詰めるような戦い方だ。


「まぁ……俺達、あんたらから奪うのも諦めちゃいないけどね」


リッコの作戦で、俺達のプレイで、『ディアボロ・ボーイズ』を追い詰めた。


だけど、最後は、絶対オフェンスを奪って勝ってやる。


これは、一種の俺の意地。だって俺、単細胞ですから。
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