【完】籠球ロマンティック
確かに、整備士の仕事はシフトで朝7時から夕方16時までであり、何もなければ誰より早くこの場所へ着くことが出来る計算となる。


「思えば、ハーシー毎日来るの遅いわよね。ってか、ハーシー意外と私生活謎」


恋夜の隣からひょっこり顔を出した律子は、ビタミンガード片手にビシ、と葉月の顔に指を差した。


「寄り道、大魔王。駄菓子屋で、ビックリマンチョコ、買い、漁ってる?」


「ちょい待てマカロン。お前さんの俺のイメージなんなの?俺今年24なんだけど。駄菓子屋に寄り道とか小学生ですか?」


マイペースと言うべきか、的外れ過ぎる論理の発言に、葉月は即座に突っ込みを入れる。


「あのねぇ、僕ちん大人なのよ。アダルティーなの。女絡みです。お、ん、な!」


そして、葉月は嘘をつくことなく、三人の少年少女をあしらってみせる。


……否、彼等に何と話していいのか分からないのだ。自分の現状を、自分の事情を。


自分のせいで長い間眠りに就いてしまった最愛の女性のことを、どう話せば良いのか、分からないのだ。
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