【完】籠球ロマンティック
高校一年生、葉月はその小柄な風貌ながら強豪校のベンチ入りを果たしていた。
スピード感のあるラン&ガンの戦略が輝くチームに相応しい、鋭く速いスリーポイントが持ち味のSG( シューティング・ガード)だったのだ。
夏で三年生の殆どが引退し、葉月は頭角を現していた実力から順当に控えからメインを張る選手へと上がっていった。
身長も、入学当時は158センチしかなかったが、その順風満帆なバスケ生活に比例し、骨が軋む音が聞こえるように伸び、何も恐れることのない勢いを持っていた。
葉月には、当時片想いをしているクラスメイトがいて。
金石美空(かないし みく)という女で、明るく、気配りの出来る少女だった。
葉月はバスケと同じくらいに女に惚れ込んでおり、また、女も葉月に惹かれているのは、周知の事実であった。