【完】籠球ロマンティック



客のいない店内を掃除していた俺は、リッコに言われたことを踏まえ、琴音店長に話を振った。


「……ってわけなんで、来週シフト水曜と木曜代えられないっすかね?」


「ダメだなんて言うわけ無いでしょ!大賛成!レンもあの空気に触れてみるべきだと思ってたんだ!」


店長の片浦琴音(かたうら ことね)さんはその女っぽい名前とは裏腹の筋肉質なガテン系男子の香りを全開にし、白い歯を見せる。


ここは、バスケとストリート系のファッションが好きで堪らないこの琴音店長が開いたインポートセレクトショップである。


価値のあるゴツナイキやエアジョーダン等、海外に買い付けに行っては飾ったり売ったりしている。


その買い付けた品々は店長の、言わば大事な恋人達。


それらを買いに来る客は、琴音店長に認められた奴等だけなのだ。


本来神様であるはずの顧客を選ぶとか、マジで変な店。


けれど、馴染みの客達はそういうこだわりが良いんだと口を揃えて言っているから更に謎だ。


まぁ、文句言いつつ、俺もこの空間は気に入ってるから働いているんだけど。
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