【完】籠球ロマンティック
イケメンゴジラが人差し指にボールを乗せて指回しを始める。


そのタイミングで流れ始めた曲は、渡辺直美がモノマネで使う海外のシンガーの、あれ、何だっけ。とにかく、あれ。


「これくらいなら出来るかな?」


その曲に合わせ、イケメンゴジラは指回しをしたまま、腰回りで何周かくるりと回してみせる。


「チッ……バカにしてんの?」


俺も投げつけられたボールを指回しし始め、イケメンゴジラに言葉を投げる。


こいつの真似をした所で、会場は沸かないだろう。


俺は、回転したままのボールを落とすことなく、両腕を輪っかにしてそこでボールを転がし、一旦指に戻して今度は右足にハンドリングさせ、再び指へ。


回転速度を左手で戻しながらニンマリ笑ってみせると、少し悔しそうに顔をしかめるイケメンゴジラ。


「じゃあ次は、こんなんどう?」


今度はボボボ、と素早くドリブルさせて、縦横無尽にハンドリングをしつつ、ターンを踏みながら、ボフ、とユニフォームの中にボールを入れて、腰で一周させてすぽんと取り出した。


巧い。ボールコントロールに相当自信があるから出来ることだ。こんな芸当、簡単に出来ることじゃない。
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