奈落
「中津先輩絶対もてるでしょ!!」


「んー?わからん。そんなんどうでもいいし♪俺、今ゆなちゃん狙ってるしな^^」


ー・・・え?

いや今のは聞き間違いだよね・・・?

うんきっとそう

ありえないありえない


「またまたあ~♪」

「・・・・・・・・・・・・・

いや、初めて会ったときから可愛いなあって思ってたし冗談でそんなこと言わないよ。」


ーーーーー・・・ドキッ

心臓の音が中津先輩に聞こえたんじゃないかと思うくらい大きく喚いた。

「え・・・っえっとぉ・・・。」


──ふいに中津先輩の手がゆなの手に触れた。



──キュン…。


甘酸っぱい音が、胸いっぱいに弾けて。


「───…ゆなちゃん」



名前を呼ばれる、
ただそれだけなのに。



背中がゾクッと震える。




全身で、自分の名前を受け止めた。
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